デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
『疲労回復と、熱を下げる薬だ。飲め』

桜の手から鉢を取り、代わりにカップを渡す。

(飲み物…よね?)

目をしばたかせて、茶色の液体を見る。

『分からないか?飲むんだ』

アスナイがクイと手と顎を上げて、飲む仕草をしてみせる。

(…飲んで、大丈夫かな…)

アスナイの冷たい瞳に気圧される。

(この人、会ったときから、怖いよ…)

『おい、さっさとしろ』

なかなか動かない相手にしびれをきらし、無理やりカップのふちを口元に持っていく。

「きゃ…!」

驚いて、桜は思わず顔をそむけた。

―トロくさそうで、頭の悪そうな娘。任務でなければ、目も合わせたくない。

おまけに、危険をおかしてこの街に足止めを食うことになった。

イライラが爆発しそうになる。
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