デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
『おい、無理強いすんなよ』

シュリがたまらず助け舟を出した。

『薬だぞこれは。飲まなければ回復しないだろ。明日の出発のためにも、飲んでもらう』

アスナイが黙ってろとばかりに睨みつけた。

そんな相棒を見て、シュリが言う。

『お前さあ、考えてもみろよ。こいつのことを。言葉も分からんところでこんな怪我をさせられて、あげくお前には初対面で思いっきり首を絞められてるんだぞ。怯えて当然だろうが』

黙りこむアスナイの手からカップを取り、桜をのぞきこんだ。

『毒じゃねーぞ。薬だ、薬。こいつの性格は悪いが、頭はいいんだよ。きっとよく効く』

『…一言多い』

『お前よりゃマシだ』

さっきのお返しとばかりにニッと笑うと、桜の目を見ながら一口飲んでみせる。

『…苦ッ』

それでも無理やり笑顔を作ると、カップを桜に渡した。
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