デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
(何で、どうして……!?)

瞳を動揺に揺らしながら、シュリの顔を見上げた。

速歩で淡々と、林を抜ける。

(どうしよう……このままじゃ)

街に出てしまう。

やがて堀が見えてきた。いつものように、衛兵が数人、その守りについていた。

(何とか、ここで気づいてもらわなきゃ)

でないと、街に出てしまったら、もう自力で王宮に帰ることなんか出来ないだろう。
シュリの隙をついて逃げるなんて、おそらく無理だ。

そう思った桜の体の緊張が伝わったのか、シュリの腕に力がこもった。そして、大きなマントの陰にすっぽりと彼女を隠す。

「んん……ぅ……」

すがるように瞳を揺らしてシュリを見つめるが、ツイと彼は前を向いた。

堀にかかる橋に来たとき、衛兵に止められた。

「下馬の掟をご存知ありませぬか」

その咎めるような口調にも動じず、武官の紋章を見せる。

「火急の用事だ。王宮内の人間が一人、病になった。一刻を争う状態だから、これから医者に連れて行く」

「王宮なら、典医がいらっしゃるはずではありませんか。王宮神処にて神力による治癒もできるはず」

「典医は貴人のための医者で、王宮神処に王の臣下はそう入れない。だから街に行くんだ。早く通せ。手遅れになる」
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