デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
淡々と言うシュリのマントの下で、桜は何とかその手を外そうともがこうとしていたが、全く動けなかった。

「はっ………」

困ったような、納得せざるを得ないような表情で、衛兵は渋々うなずく。

(違う、違うの、気づいて!)

横乗りにされた足をバタバタと動かす。

「………?まことに病でございますか」

衛兵の一人が、怪訝そうな顔をして、わずかにのぞく、シュリのマントに抱かれた桜を見た。

「疑うのか。王都武官である俺を、お前たち風情が」

シュリが、いつも桜に見せる顔とはがらっと違った目つきで、衛兵を威圧した。

ハッとした表情を青くして、あわてて彼らは一礼した。

「いえっ……そのような」

「足をばたつかせたのは、病の痛みがあるからだ。早く医者に診せたい。通せ」

それ以上疑うわけにもいかず、衛兵たちは体を引いてシュリの馬を通した。

橋を渡るとすぐに、シュリは馬の脚を速めた。

(どうしよう!王宮を出ちゃった)

桜は青くなる。

その身が震えだしたのを感じて、シュリはそっと桜の耳元に唇をよせた。
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