デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
「……大声を出さないと約束するなら、手を外す」
急いでこくこくとうなずくと、桜の口から指が外され、腕の力がゆるんだ。
苦しさからの解放と動揺で、何度か大きな息をした。
馬を進めながら、桜の口から外した二本の指先を、シュリの舌がチュク、と舐めとった。
その間にも、戸惑いと不安にくもる桜の顔を、静かなブラウンの瞳がピタリと見据えていた。
(こ……怖い………)
まるで知らない人のようなシュリの姿に、桜はおののいた。
カタカタと小さく震える桜に、笑いかける。
「……なんて顔してんだよ桜。俺がお前を傷つけるわけねえだろ?」
そのニッコリとした笑顔が、いっそう怖ろしい。
それでも、何とか声を絞った。
「シュリさん……戻りましょう?私を王宮に帰してください。今なら誰にも知られないまま帰れます」
小さく懇願する。
「………」
「もし王様に知られたら、ただじゃすまないと思います。お願いシュリさん、私なんかのために、危険な真似をしないで」
「………」
まるで聞こえていないかのように、王都の街へと馬を進める。
「お願い、シュリさ」
「そうだ、宿をとらなきゃな。もう王都の大門は開かないから、今日は街で一泊だ」
急いでこくこくとうなずくと、桜の口から指が外され、腕の力がゆるんだ。
苦しさからの解放と動揺で、何度か大きな息をした。
馬を進めながら、桜の口から外した二本の指先を、シュリの舌がチュク、と舐めとった。
その間にも、戸惑いと不安にくもる桜の顔を、静かなブラウンの瞳がピタリと見据えていた。
(こ……怖い………)
まるで知らない人のようなシュリの姿に、桜はおののいた。
カタカタと小さく震える桜に、笑いかける。
「……なんて顔してんだよ桜。俺がお前を傷つけるわけねえだろ?」
そのニッコリとした笑顔が、いっそう怖ろしい。
それでも、何とか声を絞った。
「シュリさん……戻りましょう?私を王宮に帰してください。今なら誰にも知られないまま帰れます」
小さく懇願する。
「………」
「もし王様に知られたら、ただじゃすまないと思います。お願いシュリさん、私なんかのために、危険な真似をしないで」
「………」
まるで聞こえていないかのように、王都の街へと馬を進める。
「お願い、シュリさ」
「そうだ、宿をとらなきゃな。もう王都の大門は開かないから、今日は街で一泊だ」