月が欠けて満ちる間に、たった一つの恋をしよう
最後にしたくないから

月夜のデート



「んで? 次はどうする?」

「次? 次は……あそこ! あそこで休憩したいな。ちょっと疲れちゃった」

「了解」


 かぐやが指差した店へ向かう。


「やだ、矢上さん違うよ。そっちのお店じゃなくて」

「ん? じゃあどこだよ?」

「こっちー!」


 走り出した彼女が立ち止まったのは噴水のすぐそばにあるベンチだった。満面の笑みで座面をぺしぺしと叩いている。


「ここ?」


 彼女に追いついて問えば、嬉しそうに頷く。


「そ。ここ。噴水のライトアップ綺麗だからゆっくり眺めたい」

「寒くないか?」

「平気だよ。今日はあったかい格好してきたもん」


 ロングブーツとダウンジャケットを見れば確かに暖かそうだが、それをすべて台無しにするぐらいむき出しの膝が寒そうだ。

 しかし、膝が寒そうだなんて言ったらオッサンくさいよなぁと苦笑いで黙り込んだ。

 すぐ近くのワゴンで温かい飲み物を買い、先に座っていたかぐやの隣に腰を下ろした。
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