MIRACLE・雨の日の陽だまり~既婚者副社長との運命の再会~
「昼間、ホテルのデザートバイキングに来てた子。どういう関係? もしかして、あなたの女?」

 抑揚をつけずに静かに聞いてきた凛々子を横目に、冷蔵庫を開けてペットボトルの水を取り出し、グラスなしで直接それに口をつけた。

 やはりな。そうだろうと思った。俺の予想は大当たりだ。
 “あの子”とは、梅宮ひなたのことを言っている。

 視察としてデザートバイキングの会場に赴いたら、そこで梅宮ひなたの姿を見かけた。
 俺があのホテルに行ったのは、集客率やスイーツの人気度をチェックするためで、もちろん仕事だ。
 あの子だって友達と来ていたのだから、今日会ったのは本当に偶然でしかない。
 
 だが、友人宅にスイーツを届けたいと、その場に凛々子も来ていた。
 俺はそれがすっかり頭から抜け落ちていて、あの子を見つけた瞬間、話しかけに行ってしまった。

 うちのホテルのデザートバイキングに来るなら、事前に俺に電話をすればいいのに。
 甘いものくらい、いくらでも食わせてやるのに。
 なんのために名刺を渡しておいたのだ、と思わず詰め寄った。

 向こうもあの場で俺に会うと思っていなかったのか、酷く驚いた顔をしていた。
 だから少しからかいたくなったのだが。それをわざわざ凛々子に見られていたなんて。

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