MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
「だから妻とか主婦らしいことは期待しないで? 完璧な仮面夫婦でいきましょ?」

 この場に来るまで、俺の結婚相手はどんな人だろうと、ぼんやり想像したりしていたが。
 ある意味、想像を遥かに超えた女性だった。

 面白いじゃないか。
 仮面夫婦? 望むところだ。異論はなにもない。

「家事はしない、セックスはしない、子供は作らない、仮面夫婦でいる。あなたの条件は以上ですか?」

「そうね。思いついたのはそれくらいだわ」

「書面にまとめて契約書にでもしましょうか?」

 もうこの際、契約結婚にしてしまえばどうなんだ。
 そう思い、無感情でサラリと提案してみると、彼女はフフッと笑いながら首を横に振った。
 別にそこまでしなくていい、と。

 もしも契約結婚にするならば……
 契約違反をしたときにはどうするのか、細かいところまで決めなくてはいけなくなるだろう。
 考えてみればそれも至極面倒であり、彼女が断ってくれてよかったのかもしれない。
 さすがはお嬢様だ。感覚がかなり緩い。

「あなたは私に対してなにかか条件はないの?」

「……特には。というより、考えていませんでしたから」

< 113 / 262 >

この作品をシェア

pagetop