MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
 俺も子供は別にいなくてもいい。
 今の俺自身が人の親になるなんて想像もつかないし……
 こんな俺の子供に生まれた子はかわいそうではないかと思うから。
 だから彼女が最初から作りたくないと言うのなら、それでいい。

「あ、それと……」

「まだあるんですか」

 いったいいくつあるのかと、思わず口を挟んでしまった。
 だってそうだろう。十ヶ条とかあったらどうするんだ。

「これはたいしたことじゃないわ」

 フフンと鼻で笑いながら、彼女は俺をうかがい見る。
 俺は表情を変えず、いつもの無表情の面を貼り付けて彼女の視線を受け止めた。

「掃除も洗濯も料理も、家事全般は家政婦さんに任せるから。私はなんにも出来ないし、やるつもりもないの」

 まるで自慢でもするかのように言い放った彼女にあきれすぎて、俺はなにもリアクションできなかった。
 わざわざ胸を張って言うことでもないだろう。
 家事ができないことは、なんの自慢にもならないのに。

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