MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
 せっかく久しぶりにドキドキできる男性に出会えたのに残念だとは思うものの、恋愛対象にしていい人ではないと理解している。
 好きになってはいけない人だ、と。

 だけど、棚野さんとの交際を断るのは日下さんの存在が大きいからではない。

「私、棚野さんと交際できるかどうかだけをきちんと考えました」

 決して日下さんのせいではない。そこを誤解されるのは承服できない。
 棚野さんに対してドキドキできるか。
 それを考えたとき、日下さんに感じたような胸の高鳴りは残念ながら棚野さんにはなかった。
 きっとこの先もそれは見込めないと思う。

 人の気持ちは変わるものだし、今からそう断言してしまうのは早いかもしれない。
 だけど私の望む恋愛とは違うと気づいたのだ。

 私が今より十歳年上だったなら、凪いだ海のような穏やかな関係の男性とお付き合いをし、結婚に癒しを求めるのもありだろう。
 棚野さんのように、大好きだと思えなくても良い人だと思える相手と落ち着いた結婚をしたとしても……幸せに暮らせるかもしれない。

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