MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
 条件反射で咄嗟に振り向いてしまう。
 そこに見えたのは中肉中背のどこにでもいそうな男性だったのだが、見えたその姿がとてもあやしい。

 下はジーンズにスニーカーで普通だ。
 だけど上は黒のウインドブレーカーを着ていて、キャップの帽子を目深に被った上から、さらにフードをすっぽりと被り、大きな白のマスクをしている。

 要するに、――― その顔がまったく見えない。


 私は顔面蒼白になりながら再び前を向いた。

 走れ! 走れっ!!!
 自分の脳が身体にそう命令している。

 あわてふためきながらバタバタと駆け出す。
 だけど数十メートル走ったところで、後ろから右の肩をガシッと掴まれた。

 心臓が止まるかと思った。
 もうこうなると、咄嗟に悲鳴を上げることすらできない。
 だけど相手も騒がれると困ると思ったのか、真後ろから手袋をした左手で私の口を覆った。

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