MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
「もしかして……降る?」

 思わず独り言が漏れる。
 家まで徒歩十分の距離だ。早足で歩いてとにかくアパートまで急ぎたい。

 今日は傘がないから雨には降られたくないけれど、私のことだから降るのだろう。
 自虐的にクスリと笑い、最寄駅をあとにした。

 不審者に会いませんように。
 心の中でその言葉を念仏のように唱えながらスタスタと歩く。
 怖いと思うから怖いのだ。……いや、これはお化けとは違うか。

 アパートに向かって歩いていると、自然と駅周辺の喧騒から離れていく。
 それと同時に辺りも暗くなり、どんどん不安が膨らんできた。

 怖がらなくても大丈夫だ。以前に不審者が現れてから、もうずいぶん日が経っている。
 それからまったくなにも起こってはいない。

 いざとなったら走って逃げればいいのだ。
 今日は比較的ぺたんこな靴を履いてるから、きっと逃げられる。

 そう考えて、肩に掛けたバッグの持ち手をギュッと持ち直したときだった。
 なんとなく……自分の後ろに人の気配を感じた。

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