MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
「ここには何日でも泊まっていいから」

 両手でカップを持ち、茫然自失になっている私に日下さんが声をかける。だけど私はしばらく考えて首を横に振った。

「こんな豪華な部屋、何日も泊まれません」

 普通のスタンダードな部屋でよかったのだけれど、日下さんが用意してくれたのは広さも設備も私の想像を超えた豪華な部屋だった。
 デラックスジュニアスイート、と言っていたから、通常よりも三つか四つくらいは上のランクだ。
 一般庶民の私がこんな部屋に何日も泊まれるわけがない。
 今夜一泊だけでも相当な額の宿泊料が必要なはずで、貯金をつぎ込まなければ払えないもの。

「うちのホテルなんだから。遠慮はいらない」

「いえ……遠慮しますよ」

「君がそう言うと思ったからこの部屋にしたんだ。一番上のロイヤルスイートも空いてたのに」

 ロイヤルスイートに泊まるだなんてとんでもない!
 いくら日下さんが経営しているホテルの部屋だとしても。

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