MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
 明日にでも不動産屋をまわって物件を探そう。
 気づいてしまったら一刻も早く引っ越したい。

「あの職場でずっと働いていたいんです。できるなら店に住み着きたいくらいなんですよ。退職はしたくないです」

「君は……あの店が好きなんだな」

「正直、あの店で働きたくて入社試験を受けたようなものなんです」

 ハニカミながらそう言うと、日下さんが射貫くようにじっと私を見つめてくる。無表情だが、彼の目力は強い。

「あの店になにか拘りがあるのか?」

 そう尋ねられると、思い当たることはひとつしかない。
 私の中の、心の引き出しに大事にしまってある出来事だ。

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