MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
 吸い込まれるように店の軒先に入ると、窓から店内がチラリと見えた。中は割と広いのだろうか。
 入り口に小さな看板が出ていた。名前からしてカフェのようだ。

 店内の壁やテーブルはヨーロッパ風のレトロな空間で、決してガヤガヤとしていなくて落ち着いた雰囲気だ。
 確認するようにチラチラとそれらを見ながら、私はバッグからタオルハンカチを出して頭や肩を拭いた。
 特に前髪がびちょびちょに濡れてしまって気持ちが悪い。

 タオルハンカチを頭に乗せたまま空を見上げた。
 雷までゴロゴロと鳴り出したみたいだ。雨はすぐにやみそうにないかもしれない。
 ザーッという音と共に、目の前のアスファルトに大粒の雨が打ち付けているのがその証拠だ。
 駅に着いたら、コンビニで傘を買おうかな。
 そもそも、その駅に辿り着けないでいるのだが。

 愕然としていると、私の隣にふと人影を感じた。

「……雨宿り?」

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