MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
 日下さんの娘と結婚すれば、会社でのポジションも大きく変わるのだろう。
 だけど俺にはそんなしたたかな欲はない。上にのしあがりたいのなら、自分の力でと思っている。

 そんなことよりも、だ。
 一番最後の言葉は、俺の急所を思いきり突いた。

 それは日下さんもよくわかっている。だからこそ一番最後に口にしたのだろう。“家族”という言葉を。
 俺と家族になりたいのだという思いがきちんと込められている。

 誰とも結婚するつもりはなかった。俺はずっとひとりでいいと思っていた。
 結婚に夢も希望も抱いていない。
 両親を見ていたら、こういう曲がった考えにもなる。

 だけど、日下さんが望むなら……
 俺を受け入れてくれるのなら……
 家族になろうと言ってくれるのなら……

 断る理由が見当たらない。

 そうして俺は、凛々子との結婚を決めた ――

< 201 / 262 >

この作品をシェア

pagetop