MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
「……いや、そうじゃなさそうだ」

 再びバイクのエンジン音が近くなってくる。
 それと同時に、そばにいる日下さんからチッという大きな舌打ちが聞こえた。

「狙いは俺か? ふざけやがって!」

 まただ。再びバイクがスピードを上げてやってくる。
 このときになってようやく、私の顔から一斉に血の気が引いた。

 私が跳ねられたのも、ただの事故ではなかったのだ。
 車道側を歩いていたのは日下さんだった。私が咄嗟に身体を入れ替えなかったら、日下さんが跳ねられていた。

 そして今も、犯人は彼を狙って戻ってきたらしい。
 仕留めそこなったから、もう一度ひき逃げするつもりかもしれない。
 なにか日下さんに恨みでもあるのだろうか。

 どうしよう。跳ねられた衝撃で身体が痛くて動かない。これでは日下さんをかばえない。

「日下さん、逃げて! 逃げてください!!」

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