MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
 い、痛い……
 地面に打ち付けたところもだけれど、バイクと接触した部分に痛みが走った。
 激痛にもだえながら身動きがとれずにそのまま倒れていると、そのバイクが走り去る姿が視界に入る。

 信じられない。これは事故なのに。私を救護しないならひき逃げだ。

「しっかりしろ、大丈夫か?!」

 ひどくあわてた様子で日下さんが私の元に駆け寄ってくる。
 跳ね飛ばされたのだから大丈夫なわけがない。だけど私は細々とした声を発した。

「はい。でも……バイクが逃げます」

 真っ黒なライダースーツを着て、フルフェイスのヘルメットをかぶっていた。
 身体的な特徴なんてなにもわからない……
 そう考えながら、ひき逃げ犯の後姿を目で追っていたときだった。
 そのまま走り去るのだと思っていたら、バイクは突如スピードを緩め、なんとこちらにUターンしてきたのだ。

「逃げたんじゃ……なかったんですね」

 走り去ろうとしたけれど、良心の呵責にさいなまれて戻ってきたのだろう。このときの私は単純な考えしか浮かばなかった。

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