MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
「昔、カフェで日下さんと話したことが頭に残っていて、それで販売の仕事に就きたいと思ったんです」

「だけどなぜあの店舗に? 偶然か? それとも……俺にまた会えると考えて?」

 そこに居続ければ再び会える、そんな奇跡が起こるわけないだろうとあきれられているのだろうな。
 私もバカだ。地縛霊でもあるまいし、ずっとその場所にこだわるなんて。

「いけませんか? イタイ女だと思ってます?」

「いや」

「だって、何度もあのカフェに行ったんですよ! だけどいつ行っても日下さんはいなくて。……結局会えませんでしたね」

 会いたかったのに会えなかった。
 今度はいつの間にか私の口から恨み節がこぼれ出る。

「ごめん。俺、あのあとすぐにアメリカに留学したから」

 そうか。会えないはずだ。
 だからあのとき借りた黒い傘も、返さなくていいと言ったのだろうか。もう会えないとわかっていたから?

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