MIRACLE 雨の日の陽だまり~副社長との運命の再会~
 最寄駅から私の住むアパートまでは、徒歩で十分の距離がある。
 先日、仕事を終えて駅からアパートまで歩いて帰って来ると、途中から背後に怪しい人影を感じた。

 近所での不審者情報などは耳にしていなかったため、最初は気のせいだと思いたかった。
 だけど気配を感じて私が振り返ると、その男も物陰に身を隠すという恐ろしい行動を取ったのだ。
 全速力で走って帰ったので何事もなかったのだけれど、さすがにあのときは怖くて仕方なかった。

「いつから?」

「ちょっと前からです。実は二度ありました」

 たった二度……そう思われるかもしれないが、同じことが二度起こると怖さが倍増する。絶対に無差別行為ではない気がするから。
 先日棚野さんに会ったときに、そのことをポロリと話してしまったのだ。

「ごめんね。あのとき俺が送っていればそんな目に合わずに済んだのに……」

 申し訳なさそうに棚野さんが眉尻を下げる。
 というのも、二度目は棚野さんと食事をした日だったからだ。

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