命の灯が消える、その時まで
チーンと音がなって、エレベーターが止まる。
扉が開くと、見覚えのあるはちみつ色の髪が、視界の隅で揺れた。
思わずタッと駆け寄る。
「ふ、藤塚くん! 」
「うお、濱時じゃん。珍しいな」
「え、何が? 」
「こうやって誰かのとこに駆け寄るの。朝河とかにならやってるのかもしれないけど…」
ふいっと視線を外して、言葉を濁す藤塚くん。
そして決まり悪そうに続けた。
「お前、俺のこと嫌いだっただろ。ってかクラスメイトみんなっつーか」
…ああ、そうか。
彼は知っていたんだっけ。
あの、ふさぎこんでた頃の私を。
「…前は、ね。今は真夕のおかげで人間不信がちょっと回復されたっていうか…」
「そっか。よかったな! 」
はちみつ色の髪の毛に負けないくらい輝く笑顔を向けられて、不意に私の胸がトクンと高鳴った。
胸の鼓動はそのままどんどん加速して。
口から心臓が飛び出しそう。