命の灯が消える、その時まで
[幻冬 side]
「…えー、…であるからにして…」
退屈な授業中。
俺はふと、窓の方を向いた。
その瞬間、微かに視界に入る、空席。
そこは、濱時の席だった。
窓際、後ろから2つ目。
比較的いい席に座る俺の後ろは、1ヶ月前の席替えの時から濱時だった。
昨日、クラス担任から濱時が退学したことを伝えられた俺たち。
だけど、それに関してとやかく言う奴は1人もいなかった。
ただの1人も。
確かに濱時はクラスで目立つ奴ではなかった。
だけど、俺は知ってるんだ。
時折あいつが、寂しそうに教室で騒ぐ俺たちを見ていたことを。