命の灯が消える、その時まで
今日も1日が終わった。
俺にとっては物足りない1日が。
やっぱり窓の外を眺めがら、HRを聞き流す。
外は底抜けに明るくて。
だから、次の担任の言葉はまさに、晴天の霹靂だった。
「えーっと、今日誰か濱時の机を用務室に運んでくれないか? 」
「は? 」
思わず椅子を蹴倒して立ち上がる。
「お、どうした? 」
担任の間の抜けた問いかけすらも、癪にさわる。
「なんで片付けちゃうんですか、こいつの机」
ざわっと、クラスメイトたちがわく。
「い、いやぁ、そんなこと言ってもなあ。濱時、退学したって言っただろ? 」
「いや、そうだけど…! 」
「幻冬、いーだろ別に」
「そうだよげんちゃん。濱時さんって、ネクラだし、きっとうちらと会えなくなってせいせいしてるよ」
「だよなぁ! 」
俺はグッと拳を握った。
爪が手のひらに食い込む。
「…っ、なんでもない」
だけど、結局俺は何も言い返さずに席に座った。
なんだよ、俺どんだけヘタレなんだよ。
最近、朝河と楽しそうに話している濱時を病院内で見かけることが多くなった。
濱時にボールをぶつける前までは、俺も濱時のこと、正直ネクラだと思ってた。
だって、いつも俯いてるし、1人でスマホいじってるし。
だけど、朝河と楽しそうに話す濱時は、全然ここでの様子と違ったんだ。