結婚も2度目だからこそ!
「り、離婚?」
「はい。つい一ヶ月しないくらい前に」
先輩は飲もうとしていたジョッキをテーブルに置いた。
そして離婚の理由を聞く。
「なんでまた離婚なんて……」
「えっと、その。浮気されたんですよ。……見ちゃったんですよね、浮気の現場を」
「うわ、浮気されてバツイチとか、お前どんだけ惨めなの!?」
「う、うるさいっ!そんなの分かってるわよ!」
売り言葉に買い言葉。
つい先輩に声を荒げてしまった。
言ってからハッと我に返るが、もう取り返しがつかない。
謝ろうと思っても、心の中はざわざわと乱れたままで冷静になれなかった。
惨めなのは分かっていた。
入籍してこれからって時に浮気されるなんて、どんだけ舐められてたんだろうって。
私が気付かなかったら何をしてもいい、そう思われていたんだと思うと余計に悲しくなる。
惨めなんて、そんなの自分でもじゅうぶん分かっているのに、他人に言われてますます悔しくなった。
目を丸くして、私を見ている先輩。
まさか私がそう返すとは思ってもいなかったんだろう。
徐々に頭の中が冷静になってきて、カッとなってしまったことを謝ろうと思った時、先に先輩に謝られる。
「……ゴメン、言いすぎた」
「……いえ、私もつい声を荒げてしまってごめんなさい」
「けど、目撃って……。なに?ホテルから出てきたところでも目撃しちゃったとか?」
「それならどれだけいいですかね。まさに真っ最中のところですよ。自分の家のお気に入りのベッドでいちゃいちゃしているところに遭遇したんです」
そう先輩に話したら、あの光景がよみがえる。
途端に襲う吐き気に、思わず口もとを手で覆った。
「ちょ、大丈夫か!?」
「うぐ……。す、すみません。……思い出しちゃうとダメなんですよね。気持ち悪くなってしまって」
先輩は、辛辣な表情でハンカチを差し出してくれた。
手拭きのタオルがあるから別にいいのにと思ったが、そこは先輩の優しさに甘える。
先輩がくれたハンカチは、ダージリンの爽やかな香りが仄かにして、不思議と心が落ち着く。
気持ち悪さが、少しずつ無くなっていく。
「ごめんなさい、気を遣わせちゃって」
「いや、謝るのは俺の方だよ。ゴメンな。それじゃあ、離婚以外の選択はないわな」
「はい。つい一ヶ月しないくらい前に」
先輩は飲もうとしていたジョッキをテーブルに置いた。
そして離婚の理由を聞く。
「なんでまた離婚なんて……」
「えっと、その。浮気されたんですよ。……見ちゃったんですよね、浮気の現場を」
「うわ、浮気されてバツイチとか、お前どんだけ惨めなの!?」
「う、うるさいっ!そんなの分かってるわよ!」
売り言葉に買い言葉。
つい先輩に声を荒げてしまった。
言ってからハッと我に返るが、もう取り返しがつかない。
謝ろうと思っても、心の中はざわざわと乱れたままで冷静になれなかった。
惨めなのは分かっていた。
入籍してこれからって時に浮気されるなんて、どんだけ舐められてたんだろうって。
私が気付かなかったら何をしてもいい、そう思われていたんだと思うと余計に悲しくなる。
惨めなんて、そんなの自分でもじゅうぶん分かっているのに、他人に言われてますます悔しくなった。
目を丸くして、私を見ている先輩。
まさか私がそう返すとは思ってもいなかったんだろう。
徐々に頭の中が冷静になってきて、カッとなってしまったことを謝ろうと思った時、先に先輩に謝られる。
「……ゴメン、言いすぎた」
「……いえ、私もつい声を荒げてしまってごめんなさい」
「けど、目撃って……。なに?ホテルから出てきたところでも目撃しちゃったとか?」
「それならどれだけいいですかね。まさに真っ最中のところですよ。自分の家のお気に入りのベッドでいちゃいちゃしているところに遭遇したんです」
そう先輩に話したら、あの光景がよみがえる。
途端に襲う吐き気に、思わず口もとを手で覆った。
「ちょ、大丈夫か!?」
「うぐ……。す、すみません。……思い出しちゃうとダメなんですよね。気持ち悪くなってしまって」
先輩は、辛辣な表情でハンカチを差し出してくれた。
手拭きのタオルがあるから別にいいのにと思ったが、そこは先輩の優しさに甘える。
先輩がくれたハンカチは、ダージリンの爽やかな香りが仄かにして、不思議と心が落ち着く。
気持ち悪さが、少しずつ無くなっていく。
「ごめんなさい、気を遣わせちゃって」
「いや、謝るのは俺の方だよ。ゴメンな。それじゃあ、離婚以外の選択はないわな」