十九時、駅前
引き出しをそっと開けて、
ポチ袋に入れてきたお釣りを見つめる。

困るなー。
 
すっ。

突然、視界の隅に現れた手に驚いて、
慌てて引き出しを閉めた。
顔を上げると去って行く片桐課長の後ろ姿。
机の上を見ると、
昨日と同じで折りたたまれたメモが載ってた。
何故か焦って隠して、机の下で広げる。

『笹岡へ
 三十分後、屋上
      片桐』
 
……私はそのメモを、
他の紙と一緒にシュレッダーにかけた。
 

三十分後、
屋上に行くとすでに片桐課長は待っていた。

「あ、あの!」

「ん?領収書、頂戴」

「……はい」
 
笑顔の片桐課長になにもいえなくて、
出された手に、用意していたポチ袋を載せる。
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