十九時、駅前
第2章
最初のメモから三ヶ月ほどがたった。

秋が深まり、
冬になるにつれて仕事が忙しくなっていく。

食品卸、ということは、
外食産業がかき入れ時ならば忙しいのが当然で。

忘年会・クリスマス・おせちの食材。

毎日毎日残業で、
机の上にメモが載らなくなって
半月がたっていた。

……なんとなく淋しい。
片桐課長と食事ができないことが。

ううん。
食事が、じゃなくて、
片桐課長と話せないことが淋しい。

片桐課長があんな風に
楽しそうに話してくれるのは、
食事に行ったときだけだ。
会社ではいつも、壁がある。

……それに。
私もまわりの目が怖いから、
迂闊に声を掛けることはできない。
 

さらに一ヶ月たって、
年末、二十九日にどうにか仕事納め。
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