遠回りして気付いた想い
「なぁ。昼間の人って、本当に亜耶とは、関係無いんだよな?」

しつこいだろうが、敢えてもう一度聞いた。

「うん。関係ないよ。ただのお兄ちゃんの友達だもの」

と、本当に関係無さそうに言う亜耶。

それを聞いたオレは、安堵の溜め息を漏らす。

そして、決心が鈍らない内にオレは、言葉にすることにした。

「亜耶。オレ…、オレさぁ。亜耶の事…、好きなんだ。だからオレと…」

オレの想いを口にして伝え、最後の言葉を口にしようとした時。

「亜耶ーー!!迎えに来たぜ」

と大きな声で遮られた。

誰だよ、一生の告白を途中で遮るヤツは?

やっとの思いで伝えようとしたのに、何で邪魔しやがるんだ。

心の中で恨み言を言いながら、遮ったヤツを睨み付けた。

オレの言葉を遮ったのは、あの人で、オレとしては忌々しいだけだ。

あの人が、当たり前のように亜耶の隣に並ぶ。

その姿を羨ましいと思いながら…。

今日は、これでいいのかもしれない。

何故なら、オレ自身が、恥ずかしくて亜耶の顔を見ることが出来なかったから…。

「迎えが来たのなら、オレはこれで…」

オレは、二人に背を向けて逃げるように走り出した。



やっと決意して告白したのに、飛んだ邪魔が入ったものだ。

絶対、あの人、亜耶の事を思ってる。

亜耶に告白するには、アイツが入り込めない場所でしなければ…。

オレは、もう一度告白するチャンスを探すことにした。
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