遠回りして気付いた想い
告白?・・・亜耶side
「…で、何処が解らないんだ?」

図書館に着くと悠磨君の隣に座ると同時に悠磨君がそう声を掛けてきた。

私は、急いで数学の教科書を開いて、解らなかったところを指で差し示し。

「ここなんだけど…」

と告げた。

悠磨君は、それを見て。

「これは…」

悠磨君が、説明をしながら解いていく。

成る程…。

解りやすく、丁寧に教えてくれる。

「あっ、そっか…。ありがとう、悠磨君」

悠磨君にお礼を言って、応用問題に取りかかった。

何問か解き終えた頃に。

「亜耶。これ、解る?」

悠磨君が、小声で聞いてきた。

「どれ?」

声のした方を見やれば、悠磨君の顔が目前に在って、焦った。

こんなに近くに居たなんて気付かなかった。

徐々に顔に熱が籠っていくのがわかる。

あー、やだな。

気付かれてないよね。

そう思いながら、赤くなった顔を隠したく、俯いていたら。

「亜耶?」

悠磨君の怪訝そうな声にビクリと身体を震わせながら。

「あっ…、うん。これね…」

気付かれないように、ゆっくりと丁寧に教えた。

幸い、悠磨君は私の手元を見ていたので、気付かれずにすんだ。

もう、なんの拷問なの?

そんな事を思ってたら。

「ちょっと、そこの二人、引っ付きすぎ」

瑠美ちゃんが、他の人にも聞かせるように言う。

その声で、皆がこっちを見てくる。

ちょっ…、瑠美ちゃん。何言ってるのよ。

「そ…そんな事無いと思うよ?」

慌て過ぎてかむは、言葉尻に疑問符付けるはで、自分でもドギマギし過ぎてるのがわかる。

「亜耶ちゃん。そんなに慌てなくても…。悠磨が落ち込むぞ」

的場君が、からかってくる。

うっ…。

図星を言われて、返す言葉がない。

でもね。私には、こんな時間が必要だって思うの。

仲間とのたわいの無い触れ合いが、大切だと…。




その後も、図書館が閉館するまで勉強をした。

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