遠回りして気付いた想い
「なぁ、昼間の人って、本当に亜耶とは、関係ないんだよな?」

悠磨君が、突然聞いてきた。

あれ?まだ気になってるの??

確かに、遥さんとは婚約してるけど、私が納得して婚約した訳じゃないもん。

だから、お兄ちゃんの友達で、あってると思うんだよね。

「うん。関係ないよ。ただのお兄ちゃんの友達だもの」

私は、悠磨君に本当の事は言えない。

それに、今一番気になる男の子を傷つけたく無いって、のが本音。

「亜耶。オレ…、オレさぁ。亜耶の事…、好きなんだ。だからオレと…」

悠磨君が一度俯いたかと思ったら、決意の表情をして顔をあげ、そんな言葉を連ねてきた。

えっ…何?

私が戸惑いながらその言葉に耳を傾けていたのだが、その声を遮るように。

「亜耶ーー!!迎えに来たぜ」

って、聞きなれた声が耳に届く。

まさか、何処かで見てたんじゃないでしょうね(もはや、ストーカー?の疑いあり?)。

余りにも、絶妙なタイミングで出てくる遥さん。

悠磨君の顔、心なしか赤い気がするんだけど、気のせいかな?

「迎えが来たのなら、オレはこれで」

そう言って、踵を返して走り去る悠磨君。

今、悠磨君。私の事好きって言わなかった。

私の聞き間違いかな。

あの後の言葉は、一体何が続いているの?

「亜耶、寒いだろ?」

遥さんが、後ろから抱き締めてきた。

ここ、道端なんですけどね。

遥さんは、そんな事を気にするでもなく、ギュッと抱き締めてくる。

悠磨君が、一体何を言おうとしてたの?
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