遠回りして気付いた想い
「そろそろ、プレゼント交換しようぜ」

義之が、思い出したかのように言う。

それまで、トランプで遊んでいたのだが、時間も時間だ。

「いいね」

「賛成」

各々プレゼントを取り出す。

「曲に合わせて回すってのもなぁ…」

順一が、何やら考えこんでる。

「そうだ。これに入れて混ぜてから、順番に一人ずつ引いていくか?」

順一が、近くにあった大きな袋を手にして言う。

「そうだな」

全員が、承諾して袋に物を入れる。

義之が、近くにあった紙を六等分にして番号を記入し、折り畳み、テーブルの上に混ぜておいた。

「ほら、一枚づつとれ」

義之がそう言うと、各々紙を取る。

「よっしゃー!俺、一番」

大声を出して喜ぶ、順一に思わず、苦笑した。

「私が二番だね」

亜耶がそう言いながら、純一を見て苦笑を漏らす。

「三番だわ」

複雑な顔をしていう水口。

「俺、四番」

義之が、残念そうな顔をしていう。

「五番だよ」

仕方がないって顔で言う斎藤。

「オレが、最後か…」

まぁ、残り物には、福があるって言うし…な。

「よし、順番も決まったし、俺から引くな」

順一が、張り切って袋の中に手を伸ばして引く。

「俺、これにする」

そう言って、引っ張り出して包装を取り出す。

亜耶が、クスクス笑いながら、袋に手を入れ、プレゼントを手にする。

順番に引き、最後に残ったものをオレは手にする。

「何だよ、これ…」

って、絶句してる順一に。

「それ俺のだ」

と、ボソリと呟く義之。

そして、義之が手にしてる物を見て。

「それ、可愛い」

って声をあげたのが水口。

楽しそうな声が上がるなか、亜耶がやけに大人しい。

「なぁ、悠磨。今のうちにプレゼント渡してこいよ」

順一が言う。

「だが…」

亜耶を見れば、やたらと眠そうな顔をしてる。


ピーンポーン。

来客を告げるチャイムが、家の中に響いた。

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