遠回りして気付いた想い
「覚えていないのか、昨日の事?」

って、お兄ちゃんが私の目を見て聞いてきた。

昨日?

パーティーに遥さんが迎えに来た事は、覚えている。

だけど、その後の事は何も覚えていない。

唯一覚えているのは、遥さんの背中に背負われた事だけ…。

それ以上は、何も…。

首を傾げる事しか出来ない。

「昨日、遥がお前を背負って帰ってきたんだ」

って、お兄ちゃんが、真顔で話し出した。

えっ…。

「泊まっていけって言ったんだけどな、今日も朝から仕事みたいで、お前をベッドに寝かせてから、直ぐに帰っていったんだ。本当なら、側に居たいんだろうけどな…」

って、お兄ちゃんが、寂しげに言う。

遥さん…。

「それから、"マフラー有難う"ってさ」

お兄ちゃんからの言葉。

でも、何でわかったんだろう?

プレゼントには、印付けていなかった筈。

「あっ!」

プレゼントで、思い出した。

私の声にお兄ちゃんも驚いた顔をしたかと思ったら、どうしたんだ?って顔をして、首を傾げた。

「お兄ちゃん。ちょっと待ってて」

私は、それだけ告げて部屋に戻った。



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