スノウ・ファントム
パッと顔を上げて、ルカの薄茶色の瞳に怪訝な眼差しを送る。
その意味に気付いたらしいルカは、柔らかそうな茶色の髪に手を差し込んで頭をかきつつ、サラッと爆弾発言。
「そっか……言ってなかったっけ。俺、人の心の中が読めるんだよね」
「……え?」
(冗談? それとも、私がわかりやすすぎるっていう皮肉?)
隣に立つルカは、どう見ても普通の男子高校生。超能力者のようには見えない。
「……じゃあさ。いま、私が何考えてるのか当ててみて」
「うん。いいよ」
さっきは確かに考えていることが当てられてみたいだけど、私の表情か何かで察しただけ。
顔に出さずに、今の状況と全く関係ないことを心に思い描いてみれば、ルカだってわかるわけがない。
私はすました顔を作って、心の中でものすごく単純なひと言をつぶやく。
(おなかすいた)
その瞬間、隣でルカがプッと吹き出して、そのまま小刻みに体を震わせて笑いながら、私に告げる。
「飴ならあるけど、食べる?」
そしてごそごそと制服のポケットを探り、私にミルクの飴を差し出した。