素敵な夜はあなたと・・・

 部屋へ戻るとリビングのソファーに寝そべる優也は食事の準備の途中だったが作るのを止めた。一人分の食事を作っても食べたい気分にはなれなかった。


「茜・・・・」


 茜が斎藤とどんな交際を続けているのか気になった優也は、悪い事だとは思いながらも茜の部屋を調べようと部屋の中へと無断で入って行く。

 そして、部屋にはベッドがあるだけで他には何もない事に心が締め付けられる思いがした。自分の部屋と同じ様にベッドだけが置かれ他には何も家具類はない。

 優也は何時までも茜と一緒に暮らすつもりがなかったことでベッドしか置かなかった。今も、ベッドだけが部屋の家具として置いているだけで他には目だったものは何もなかった。

 そんな優也の部屋と同じ様に茜の部屋にもベッドだけがその部屋に唯一存在する家具だった。


「あの男はどこのどいつだ?」


 家具はなくても茜の学校の教科書が入ったバッグなどに何か斎藤についてのモノがあるのではないかと、バッグの中を隅々まで調べていた。しかし、バッグには学校に必要な本以外はそれらしい物を見つけることが出来なかった。

 他のバッグや学校の荷物はないかとクローゼットの中も開けては調べようとした。

 しかし、クローゼットの中には制服以外に殆ど服が下がっていないことに優也は言葉を失ってしまった。茜もまた優也と同じくここに長く居座るつもりがないと思い知ってしまった。

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