クールなCEOと社内政略結婚!?
 目的地を聞いていなかった私はてっきりどこかに連れて行かれるのもだと思っていたのに、到着したのは自宅マンションだった。

 初めて地下駐車場を利用したが、周りには驚くほどの高級車が並んでいて、ここで車庫入れをしろと言われたら、十回はハンドルを切るほど緊張する自信があった。

「ほら、着いたぞ」

 まったく悪いと思っていないのか、いつも通りの態度の孝文にカチンと来た。せっかく少し鎮まった怒りが再炎しそうだ。

 運転席から降りた孝文が、助手席に回ってドアを開けた。

「もたもたしてると、引きずり降ろすぞ」

「な、何よ。すぐ降りるっ!」

 怒っているのは私のはずなのに、どうしてこんな態度を取られなくてはいけないのだ。理不尽極まりない。

 私を車から降ろすと、エレベーターホールに向かって歩き出した。その背中からも不機嫌さがうかがえる。

 聞こえよがしにため息をついて、彼に次いでエレベーターに乗った。

――最悪の誕生日だ。
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