クールなCEOと社内政略結婚!?
 相変わらず会話のないまま、部屋へとふたりで向かう。もともと仲が良いわけじゃないが、それなりになんとかやって来た。
 
 ここまで険悪な雰囲気になったのは初めてだったせいで、どうやってこの空気を変えればいいのかわからない。
 
 そんなことを考えていると部屋に到着した。解錠しようとした孝文の手が止まる。

「どうかしたの?」

 なかなか部屋に入らずに、何か考え込んでしまっていた。私が変わりに手を伸ばそうとすると「ダメだ」と小さなけれど厳しい声で制する。そして驚くことを言った。

「鍵が開いてる。誰か中にいるかもしれない」

「えっ!?」

 思わず声をあげてしまい、慌てて口元を抑えた。

「とにかく、お前ここですぐに通報できるように電話持って待ってろ。俺が見てくる」

「危ないよ。私も一緒に行く」

「ダメだ」

「ダメだって行っても行く。ひとりよりふたりのほうが絶対いい」

 彼の腕をギュッと握りしめて、しがみついた。

「お前、変なところで強情だな……。わかった、ただし俺より前に絶対に出るなよ」

 頷いた私の顔をみて、孝文がドアを開く。玄関には女物のヒールが綺麗に並べて置いてあった。

 それを見てふたり顔を合わせた。これって、もしかして……元カノとか? 孝文と関係のあった女性かもしれない。

 正直な私の顔に、孝文への不信が現れていたのか、彼は黙ったまま首を横に振った。

 とはいえ、泥棒ではなさそうだ。しかし不法侵入には違いない。孝文は私を背中にかばったまま、ゆっくりとリビングの扉に手をかけた。
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