クールなCEOと社内政略結婚!?
 おそるおそる中を覗きこんだ孝文が固まる。これはきっと、女関係に違いない。

確信を持った私は、彼が止めるのも聞かずにリビングの扉を思いっきり開いた。そしてそこにいる女性に視線を移す。

「あら、おかえりなさい」

「え……」

 そこに座っている女性を見て驚いた。とても品があり、綺麗な人なのだが年齢がおそらく六十代ではないかとうかがえる。

 視線を女性に向けたまま、背後にいる孝文に尋ねた。

「ねぇ、守備範囲、熟女もアリなの?」

 ストレートな質問に心底嫌そうな声が返ってきた。

「マジでやめてくれ。おふくろだよ」

「ふーん。おふくろねぇ……」

 え? ちょっと待って。

 私は背後にいる孝文を振り返って、もう一度確認した。

「あの、おふくろって……お母さんってこと?」

「あぁ」

 私の質問に、彼は眉間を抑えながら頷いた。

 そして私はもう一度、おふくろと呼ばれた女性をみた。確かによく見てみれば目元が、アイリッシュグレーの瞳がそっくりだった。

「孝文、そんなところに突っ立ってないで、そちらの方紹介してちょうだい」

 いつも私たちが座っているリビングのソファに座って、ティーカップを傾けている。

 背後から孝文の「はぁ」というため息が聞こえてきたあと、私の前に足をふみだした。それに続き、私もリビングの彼の母親の前に立つ。座ったままの彼の母親がまさに値踏みするように、頭のてっぺんからつま先までじっと視線を走らせた。その視線に緊張が煽られる。
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