クールなCEOと社内政略結婚!?
 たしかに強引で横暴なのは否めない。けれどその中にある優しさや気遣いが彼にはあった。

 言葉なくじんわりと胸に広がる温かい喜びを感じていると、お母様が声をあげた。

「じゃあ、これってあさ美さんのだったの? いやだ、ごめんなさいっ」

 慌ててお皿をテーブルに置いて、頭を下げたているお母様に、頭をあげるように伝えた。

「あの、気にしないでください。せっかくなんで、私もいただきます」

 取り分けようと残りのケーキに手を伸ばそうとすると、サッと目の前にお皿が差し出された。それにはすでに切り分けられたケーキがのっている。もちろん「ハッピーバースデー」のクッキーのプレート付きだ。

 差し出した相手は、涼しい顔をしている。わずかな時間の間にここまでやってのけるとは、本当にこの人はただの秘書なのだろうか。

「いただきます」

 と、孝文に向かって言うと、仏頂面で「どうぞ」とだけ返ってきた。

 ひとくち口に運ぶと、クリームの上品な甘さが口の中に広がる。スポンジは軽くて口の中で解けてなくなくなるようだった。

「美味しい」

 今の状況を忘れて思わずニンマリしてしまう程の味だ。こちらを見ていた孝文の顔が、ふっと柔らかくなった。
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