クールなCEOと社内政略結婚!?
「せっかくできた娘と一緒にいたいのよ。だからいいじゃない、今日だけ、ね?」

 すがるように手を握られて、期待の籠った瞳に見つめられる。そんな顔されると断れない。どうしたらいいのか困ってしまい、孝文を見ると、あきらめたのか「好きにしろ」となげやりな答えが返ってきた。

「うれしいっ! じゃあ早速行きましょう? ほら、あさ美さん着替え持ってきて」

「着替えって……泊まるんですか?」

 生まれて初めて、彼氏――じゃなかった、旦那さんの実家に訪問するのに、いきなり泊まりとなるとハードルが高い。

「そうよ、せっかくだからゆっくりしてほしいの。ほら、準備して」

 言われるままに立たされた私は、断ることもできずに、自室に着替えを取りに行く。孝文は腕を組んだまま、成り行きを見守っているだけだった。

「……あの、出来ました」

 出張の時によく使うボストンバッグに、一泊できる荷物を詰め込んだ。その荷物をお母様の秘書がすぐに受け取りに来る。しかし、それを孝文が止めた。

「いいから、こいつの荷物は俺が持つ」

 さっと私の手からバッグを取り上げると、歩き出した。

「悪いけど、俺たちは明日のこともあるし、俺の車で行くから」

「明日……ってなんかあった?」

 私の言葉をきいて、孝文の冷たい視線が私を突き刺した。

――はい、黙っています。
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