クールなCEOと社内政略結婚!?
 これ以上余計なことを言わないように、私は孝文の言葉にあいづちを打った。

「じゃあ、ちゃんとついてくるのよ」

 まるで小さな子供に言い聞かせるような口調に思わず笑いそうになったけれど、孝文の死をいざなうかのごとくの視線が向けられて、私は緩んだ顔を引き締めた。



 かくして私たちは、孝文の運転で彼の実家に向かうことになったのだけれど……。

「どうして断らなかったんだ」

「どうしてって、どうやったら断れるの?」

 目の前のお母様の乗る超高級車と距離をあけずにある車内で、車に乗り込むとすぐに孝文が不満を漏らした。

「お母様、全然話聞いてくれないし。孝文が断ってくれればよかったのに」

「そんなこと出来てたら、今車になんか乗ってないだろう」

「開き直らないでよ」

 唇を尖らせた私は、ずっと感じていたことを孝文にぶつけてみた。

「ねぇ、失礼かもしれないけど、お母様ってうちの父親に似てない」

 ちらっとこっちを見て、小さく頷いた。

「やっぱり。だから孝文の父の扱いがうまかったんだ」

 お母様で鍛えられているから、うちの父みたいなちょっと変わった人間ともまともに話ができたんだ。
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