クールなCEOと社内政略結婚!?
「俺と結婚しよう。あさ美」

 なんだか不思議な感じだ。つい最近まで夫婦だと思って疑わなかったのに今さらプロポーズだなんて。

 でも孝文がきちんと言葉にしてくれたことが嬉しい。

 熱い思いがこみ上げてきて、がまんしていた涙が一粒落ちた。

 私は孝文の胸に飛び込んで「はい」と返事をして、彼の背中に腕を回した。

「なんだ、お前が素直だとなんか変な感じだな」

 からかうような孝文の言葉に、私は泣き笑いを浮かべながら彼の胸を拳で叩いた。

「痛ってー! でもそれでこそあさ美だな。こうやって俺たちらしくいこう。始まりがどうであれ、誰にも文句言わせない、最高の夫婦になろう」

 孝文のその言葉に、また涙があふれてきてしまう。

「おい、そんなに泣いてたら役所に行けないだろ? ほら」

 孝文がハンカチでごしごしと私の顔を拭く。ちょっと痛いけれど、その手の優しさを私は一生忘れないと思った。
< 230 / 239 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop