クールなCEOと社内政略結婚!?
 それから半年後――。

 私は母のためにデザインをしたあのドレスを身に付けて、フランス・パリ郊外にある古城にいた。隣にはもちろん孝文の姿がある。

 孝文のルーツでもあるフランスに行こうと言われてふたつ返事で返したのだが、まさかこんなサプライズが待っているなんて。

 この城の中でも最も豪奢なサロンで、私たちの式がとり行われていた。

 結婚して随分と時間はたったけれど、神父様の前でもう一度ふたりで誓いをたてようとしていたそのとき、現地スタッフが血相をかえて駆け込んできた。

 なにやら早口のフランス語で話しをしていて、私には何がなんだかわからない。ただ孝文の眉間に皺が深く刻まれる様を見て、よくない知らせだということは理解できた。

 こんなことなら、少しくらフランス語習っておくんだった。そう後悔したけれど、背後から聞こえる声に驚いてそれどころではなくなった。

「あさ美ぃいいい~綺麗だよぉおお」

 号泣しながら駆け寄ってきたのは、父だ。

「お父さんっ! ど、どうしてここに?」

「どうしてって、あさ美の花嫁姿を見るためだろ?」

 あたり前のように言ってのけたが、今日まで私でさえ結婚式を行うことを知らなかったのに、どうして父が知っているんだろうか?
< 234 / 239 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop