クールなCEOと社内政略結婚!?
 さっきの孝文の話だと〝ふたりっきりで〟という話だったはずだ。孝文も不思議だったのか父に尋ねた。

「宗次さん……どこでこの話を? 今日のことは私がひとりで手配したんですが」

「あはは~もう孝文くんも人が悪いゾ! こんな可愛いあさ美を独り占めするなんて」

 人差し指で孝文の肩をつつく姿は、とても初老の男性には見えない。

「そうですよ、もう! 孝文もあさ美さんも、内緒でこんな計画立てるなんて」

 次は女性の声が背後から聞こえた。もう嫌な予感しかしない。

「おふくろ……」

 孝文は額に手をあてて、頭痛に耐えているようだった。

「あさ美さーん。あら、本当に素敵このドレスあさ美さんがデザインしたんでしょ? こんな素敵なデザイナーさんがいるならアナスタシアも安泰だわ」

 褒められて嬉しいが、今はそれどころではない。

「あの……えーっと」

 突然のことで孝文は一気に不機嫌そうになるし、父とお義母さまは相変わらずマイペースに騒ぎ続けている。

 収拾がつかなくなりかけたとき、もうひとりの声が響いた。

「そんなことより、早く式を進めないと神父さん困ってるだろ?」

 入口の扉を開いて、俊介が中に入ってきた。ここにきてまさか俊介まで……。
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