クールなCEOと社内政略結婚!?
 その日空腹に耐えかねた私は、昼休憩の時間になるとすぐに梨花ちゃんをさそって十五階にある社員食堂へ足を向けた。スカイラウンジになっていて、とても見晴らしがいい。その上、毎月違うケータリング会社が入ることになって居るので、メニューに飽きることもない。

 アナスタシアは社員がよい仕事をするための福利厚生については太っ腹だ。十階にはカフェもありバリスタが朝から常駐している。軽い打ち合せなんかは、カフェで雑談混じりにしたほうが、ミーティングルームでやるよりも良いアイディアがうかんできたりするものだ。

 今日は和食のケータリング会社が来ていて、私と梨花ちゃんは同じ松花堂弁当をセレクトし席に着いた朱色の重箱を開けると、中は小さく区切られていて、食材が繊細に飾られていた。それは食欲とともに創作意欲を掻き立てられるような気がする……とはいえ、今は空腹を満たすほうが先決だ。

「いただきます」

 私と梨花ちゃんはきちんと手を合わせてから、箸を持った。まずは手前にある手毬寿司に手を伸ばしした。大好きなサーモンから口に運ぶ。見るに美しかったけれど、食べても美味しい。私はお刺身や天ぷらなど豪華な食事を次々と胃袋に収めていった。

 空腹感が紛れた頃、梨花ちゃんが一冊の雑誌を取り出した。
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