浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
しばらく話を聞いていた(というか輪に入れていなかった)三池さんが口を挟んだ。

「それならうちの会社受けてみません?」

ママとゆかりさんと私が一斉に彼を見た。
それに一瞬怯んだようだけれども、
「昼の仕事したいんでしょ?パソコン扱えます?あ、そんな難しくないし、ミキに教えてもらえると思うし。
ここと同じでほとんどおじさん相手だし。
会社は福利厚生も充実してるし。」

「………………」

ゆかりさんが私の後任?
考えたこともなかった。もちろん昼の仕事を探してるなんて思わなかったし。

「仕事に差し支えなければ夜のバイトもオーケイだし。」
「それ、社長じゃなくて三池さんが言います?」
「俺、次期社長だし。」
「次期社長はミキちゃんの旦那さんでは?」
「そうなったとしても俺は副社長か専務だし。」

こんな人を重要ポストに就けないといけない我が社の未来は明るくないのでは……とは思うが、ゆかりさんには誠ちゃんもいるし、仕事は真面目にするだろう。うちの会社が危ぶまれても他社の正社員への足掛かりになるかもしれない。
そして
「そうだ!扶養家族手当てもあるし、住宅補助もありますね!」
「そうそう……扶養家族手当て?扶養家族……?」

問いかけてくる三池さんを無視して私はテーブルに身を乗り出した。

「誠ちゃんも喜ぶかも!」
「そ、そうね……雇ってもらえるなら……」
「大丈夫!社長に推薦しときます!」

天井に向かってガッツポーズをした私の横で

「おい……扶養家族ってなんだよ。『誠ちゃん』ってまさかヒモのオットか……?」

三池さんが不安そうに呟いていた。
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