浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)

『ママを泣かすヤツは許さないぞ』と言わんばかりの誠ちゃんは、私を睨んでいる。
よく私を家に入れてくれたもんだ。
こんな不信感いっぱいの幼児に嘘をついては後々面倒だ。

「私はね、ママ……ゆかりさんとは最近知り合ったの。前にスーパーで会ったときぐらいかな。確かにあの時はお互い知り合ったばっかりで、いろいろと問題があったんだけど、今は解決してるし。仲良くなれたんだよ。だから、頼まれたの。」

うん。そんなに仲良くってわけじゃないけど、こんなもんだよね。
にっこり笑う私に、まだ疑惑の眼差しを向けてくる誠ちゃん。
「問題ってなに?」

詰めてくるなぁ……保育園児なのに凄くしっかりしてる。

「んー……。私が好きな人が、ゆかりさんの事が好きだって勘違いしてて。」

流石に元カノとか今カノとか説明できないので、噛み砕いて説明した。

「ママの事が……?」
「いや、だからそれは勘違いで!間違いだったの!だから、ゆかりさんには悪いことしたなぁ……と。」
「それ、ホンとに間違い?その人、ママの事好きなんじゃないの?」

な、なんと!
解決した問題をまた蒸し返すとは!

「ママってモテるんだよ。いろんな男の人から電話かかってくるし、いっしょにご飯食べに行ったりしてるもん。きっとその人もおばさんよりママの事が好きなんだよ。だから、ママの事、嫌いだったの?」

ムッカー!!
なにそれっ!
「ホントに勘違いだったし!その人、私のことが大好きだし!しかもオバサンオバサンって、わたしの方がゆかりさんより若いし!ピチピチだしっっ!」

保育園児相手に大人げなくムキになって言い返してしまった。
だけど、流石に「ママがモテるのは営業でしょ」とは言わなかった。

「……ママの事は嫌いじゃないの……?」

私が言ったことは全部スルーですか。そうですか。
あーもういいや。
だってなんだかすがるように私を見つめるつぶらな瞳。
なんだか優を思い出すんだもん。

なんか、弱いな。悲しそうに目で訴えてくるの。

< 13 / 130 >

この作品をシェア

pagetop