浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)

「……責めてる訳じゃないんだ……俺、あ、焦ってて……」

しどろもどろの優に言ってやりたい言葉はたくさんあるが、涙が邪魔をする。

「ごめんっ!な、泣かないで……ごめん。ほんと……っ」

そうして私の横に来て抱き締めようとしたから

「やめて」

一言そう拒絶した。

優はピタッと体を強張らせた。

「先週……日曜の朝……仙台に行ったの。」
「え?先週日曜?」
「優の家に行ったの。会いたかったから。でも優は一人じゃなかった。」

優は私を見つめながら記憶を呼び起こしている。

「…………あ」
思い出したよう。
「…………何を聞いた?」
そう聞いてきた。
私に全てを話させるつもりなのか。
なんだか力が抜けて涙も止まり、諦めがついた。

「出ていって。もう来ないで。今は何も話したくないし、聞きたくない。」
「……透子……」
「早く出てってよ!私をバカにするのもいい加減にしてよ!」
「透子、……落ち着けよ。」

「だいたい、優の回りは綺麗な人ばっかりなんだから、もともと私なんか居なくてよかったのよ!万里子さんと二人三脚で立派な会社にしてよね!私は私でここでチマチマ頑張るんだから!」
「……えぇ?」
「仙台からしばらく出られないんでしょ?丁度いいわよ。遠距離が祟って婚約解消。これでいいでしょ?優の親と会わなくて良かったわ。う、むぅ……」

急に顔が優の胸に押し付けられ言葉を遮られた。

「何言ってんの?そんなことするわけないでしょ。」
さも当然のようにさらっと言いのけた優は続けた。

「なんだろ……?可愛い嫉妬なのか?」

こいつ……!バカなのか?
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