コクリバ 【完】
初めてだった。
いつかするだろうファーストキスに、憧れを含んだ期待を持っていた。

噂に聞いた……キス……

これがそうなの?

もっといろいろあってからのキスかと思っていた。
ドキドキしたり、シチュエーションとか考えたり、場所だってそう。
最低でも3回はデートしてからキスに進むもんなんじゃないの?

なのに実際には、
気付いたら、唇が触れていた。

ドクン と胸が痛む。

高木先輩は、なんで…キス…なんかしたんだろう

「俺にしとけよ」
低い声が甦ってくる。

そんな言葉、本気にしちゃダメだ!
絶対、みんなに言ってる!

だって、モテモテ遊び人集団=バスケ部のキャプテンだもん。

…キス…も
きっと高木先輩にとっては、たいしたことない行為。

でも、私は初めてだったのに…
ファーストキスだったのに…

特に大事にしていたということもないけど、
たまたまそういうチャンスがなかったというだけだけど、
シチュエーションだって大事にしたい!
何より、好きな人と…

そこまで考えて気付いた。

好きって何?


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