コクリバ 【完】
ほんの1時間前まで浮かれ気分だったと思う。
それがまさか失恋した挙げ句、ファーストキスまで経験することになるなんて……
「はぁー」
盛大なため息を付いた時、
ガラッ
大きな音を立てて美術室のドアが開いた。
「あれ?どうしたの?今日は部活休みだよ」
少しウェーブがかった茶色い髪を左手でかきあげながら入ってきたのは部長の市原さん。
ビックリした。
「あ、あの、間違えて、来て、しまいました。」
本当の理由は自分でも分からない。
「ふーん」
市原先輩は柔らかく微笑んで私の横を通りすぎる。
それ以上聞かれなくて良かった。
「今日は誰も来ないからゆっくりするといい」
市原先輩は独り言のようにそう言うと、そのまま隣の準備室へ入っていく。
美術部の部長の市原悟(いちはらさとる)さん
色白で、鼻筋の通った顔は、美形としか形容する他はなく間違いなくうちの高校で一番のモテ男さん。
だけど市原先輩の描く絵は繊細で、どこか切ない。
そして私はその絵が好きだった。
再び頬杖をついて窓の外を見た。
「ふー」
もう一度ため息が出る。
私の手は無意識に唇に触れていた。
それがまさか失恋した挙げ句、ファーストキスまで経験することになるなんて……
「はぁー」
盛大なため息を付いた時、
ガラッ
大きな音を立てて美術室のドアが開いた。
「あれ?どうしたの?今日は部活休みだよ」
少しウェーブがかった茶色い髪を左手でかきあげながら入ってきたのは部長の市原さん。
ビックリした。
「あ、あの、間違えて、来て、しまいました。」
本当の理由は自分でも分からない。
「ふーん」
市原先輩は柔らかく微笑んで私の横を通りすぎる。
それ以上聞かれなくて良かった。
「今日は誰も来ないからゆっくりするといい」
市原先輩は独り言のようにそう言うと、そのまま隣の準備室へ入っていく。
美術部の部長の市原悟(いちはらさとる)さん
色白で、鼻筋の通った顔は、美形としか形容する他はなく間違いなくうちの高校で一番のモテ男さん。
だけど市原先輩の描く絵は繊細で、どこか切ない。
そして私はその絵が好きだった。
再び頬杖をついて窓の外を見た。
「ふー」
もう一度ため息が出る。
私の手は無意識に唇に触れていた。