コクリバ 【完】

OB会

次の日、学校を休んだ。

絢香が心配してメールをくれたから、
『大丈夫だよ!捻挫しただけ……
ブレザーのボタン2個買ってきてほしいんだけど、帰りにうちに寄って』

そう送っておいたら、休み時間に入った途端電話がかかってきた。

「何?ブレザーのボタンって何?なんで2個?何があったの?」

私にしゃべる隙を与えないつもり?、って言いたくなるように絢香が喋り続けた。

そして、放課後、
走ってきた?って聞きたくなるような時間に、絢香とともちゃんがブレザーのボタンを買って、お見舞いに来てくれた。

案外歩きやすかった松葉杖をついて玄関を開けると、二人の目が大きく見開いたのには、私も驚いたけど……

部屋に案内すると、さっそく説明しろという雰囲気だったので、
市原先輩のファン集団にやられたことと、高木先輩に送ってもらってテーピングをしてもらったことを話した。

絢香もともちゃんも怒ったり、驚いたりして、最後には二人とも眉間にシワが寄っていた。

「じゃ、高木先輩は、奈々と市原先輩が付き合ってるって思ってるってこと?」
「うん。他の奴の女はいらない、みたいなこと言われた」
「それで?奈々ちゃんは何て言ったの?」
「何て言ったかな……でも……」
「何?」
「高木先輩に、キスされた」

「え?」
「なんで?」

二人の声がハモッた。

「でもね。全然違うの。それまでのとは全然違って、愛情のないキスみたいな……」
「愛情がないキスってあるの?」

すごく当然のことのように絢香が言う。
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