コクリバ 【完】
「え?振り回されてるのは私の方ですよ」
「いや。俺だね」
「私です」
「今まで俺がどれだけ辛かったか、おまえ知らないだろ?」
「先輩だって、私がどれだけ泣いたか知ってるんですか?」
「泣いたのか?」
「泣きました」
「いつ?」
「いつぅ?ずっとです」
「じゃ、ずっと俺のことが好きだったんだな」
「……それは……」
私を抱きしめる腕の力が強くなる。
「…奈々…」
ぐいっと身体ごと後ろを向かされると、目の前に先輩の胸があった。
考えるよりも先にその胸に飛び込み、思いっきり先輩に抱き付いた。
「先輩……」
どんなに自分の気持ちを誤魔化しても、
どんな理由をつけて避けようとしても、
結局、私はこの人に惹かれてやまないんだと、
しがみつくように抱き付きながら痛感した。
アゴの下に先輩の手が触れ上を向かされると、そこには優しく微笑んでいる切れ長の目があった。
徐々に近づいてくるその瞳をじっと見てしまう。
見覚えのある景色。
その褐色の瞳の奥に引き込まれそうな感覚。
懐かしい想い出―――
初めて先輩とキスしたコクリバでの景色が甦ってくる。
あれから始まった恋だった。
唇に温かな感触。
そう、この唇だった。
私を別世界に誘った、全ての始まりの感触―――
「いや。俺だね」
「私です」
「今まで俺がどれだけ辛かったか、おまえ知らないだろ?」
「先輩だって、私がどれだけ泣いたか知ってるんですか?」
「泣いたのか?」
「泣きました」
「いつ?」
「いつぅ?ずっとです」
「じゃ、ずっと俺のことが好きだったんだな」
「……それは……」
私を抱きしめる腕の力が強くなる。
「…奈々…」
ぐいっと身体ごと後ろを向かされると、目の前に先輩の胸があった。
考えるよりも先にその胸に飛び込み、思いっきり先輩に抱き付いた。
「先輩……」
どんなに自分の気持ちを誤魔化しても、
どんな理由をつけて避けようとしても、
結局、私はこの人に惹かれてやまないんだと、
しがみつくように抱き付きながら痛感した。
アゴの下に先輩の手が触れ上を向かされると、そこには優しく微笑んでいる切れ長の目があった。
徐々に近づいてくるその瞳をじっと見てしまう。
見覚えのある景色。
その褐色の瞳の奥に引き込まれそうな感覚。
懐かしい想い出―――
初めて先輩とキスしたコクリバでの景色が甦ってくる。
あれから始まった恋だった。
唇に温かな感触。
そう、この唇だった。
私を別世界に誘った、全ての始まりの感触―――